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売却で火事は瑕疵となる告知事項?もらい火やボヤならどうする?

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア17年

【不動産】家を売るとき買うときはFReeYへ!

売却で火事は瑕疵となる告知事項?もらい火やボヤならどうする?




不動産に火事があった過去は、告知事項として売却時に伝える必要があるのでしょうか?

 

不動産売買で伝えるべき主な事項には、瑕疵(かし)とよばれる不具合があり、告知事項を伝え忘れると大きなトラブルに発展する可能性があります。

 

瑕疵は建物の構造に大きな不具合をきたす物理的瑕疵と、心情面に悪影響を及ぼす心理的瑕疵があり、判断基準が明確でないケースもあるので注意が必要です。

 

火事が売却における告知事項となるのかについて、瑕疵や告知忘れ、裁判所の判例基準、もらい火やボヤの扱いなどについてみていきましょう!

 

不動産売却で火事は瑕疵として告知事項なのか?


不動産売却で火事は瑕疵として告知事項なのか?



不動産売却で火事が告知事項になるのかを、瑕疵にあたるか否かで考えていきます。

 

また、瑕疵であった場合、物理的と心理的のどちらでの告知事項となるのかも、併せてみていきましょう。

 

<火事は心理的な不具合にあたる>

 

火事の過去は心理的瑕疵にあたるので、不動産売却では重要事項の説明として購入希望者に伝える必要があります。

 

心理的瑕疵とは、火災などの事故により、買手が購入しなかったり価格交渉したりする可能性のある不具合です。

 

具体的な事例は以下を参考にしてくださいね。

 

・自殺や殺人など、事故や事件による不動産内での人の死亡

・不動産やその周辺で起きた事故や事件

・下水処理場や火葬場などの嫌悪施設が周辺にある

・反社会的勢力事務所などがある

 

火災はこの内、不動産やその周辺で起きた事故や事件にあたるので、心理的瑕疵として認識しておきましょう。

 

<心理的以外の瑕疵にも要注意>

 

基本的には心理的不具合となる火事ですが、状況によっては物理的な不具合も混在する可能性があります。

 

火災による躯体への損傷があり、雨漏れやひび割れなどができてしまうと、物理的な瑕疵としても告知事項として扱われます。

 

また、購入希望者が内見で確認できるような不具合は、のちのトラブルになりにくいですが、目が行き届かない箇所の「隠れた瑕疵」には特に注意しましょう。

 

火災後にリフォームや修繕工事をしていても、柱などの構造部分へのダメージが残されたままのケースが考えられます。

 

このようなケースでは、売手も気づいていない可能性があるので、隠れた瑕疵といい、売却後に大きなトラブルを引き起こす要因になるのが特徴です。

 

そのため、「瑕疵担保責任」が売主にはあり、売却後の不具合の発覚について責任を負う必要がでてきます。

 

火事では表面がきれいになっていても、建物がなんらかのダメージを受けている可能性が高いので、見えない部分の不具合には十分注意するようにしてくださいね!

 

不動産売却で火事による事故物件を告知事項にしないとどうなる


不動産売却で火事による事故物件を告知事項にしないとどうなる


 

不動産売却で火事での事故を告知事項として伝えないと、売手は大きな不利益を被るかもしれません。

 

事故の事実をきちんと伝え、以下のような無用なトラブルを回避できるよう、リスクヘッジするのがおすすめです。

 

<裁判によって損害賠償を支払う可能性がでてくる>

 

購入者が火事の過去を知って裁判になれば、判決によっては損害賠償を支払う必要性がでてきます。

 

リフォームして元通りに直し、売手は不自由なく生活していたと感じていても、買手にとっては、火事の事実は大きな過去に感じるかもしれません。

 

火災について情報提供を受けなかった不信感もでてくるでしょうから、心情的な作用によって、トラブルがますます大きくなる可能性もあります。

 

さらに、心理的な不具合だけであればまだしも、隠れた瑕疵によって物理的不具合がみつかると、損害賠償の責任を負う確率が高くなるでしょう。

 

<瑕疵にあてはまるケースとあてはまらないケースがある>

 

心理的瑕疵には明確な基準がないので、火災事故でもあてはまるケースとあてはまらないケースがあります。

 

判断するには裁判での判例を参考にするのが一般的で、たとえば、以下のようなケースでは、心理的不具合を裁判所は認めていません。

 

・火災事故発生が17年前

・火災の発生した建物は取り壊されている

・近隣住民の関心が薄い

 

わかりやすい基準としては、火災発生時からの経過年数があげられ、判例をもとにすると、約10年前であればあてはまらない場合が多いようです。

 

しかし、ケースバイケースなので、不動産の利用状況や近隣住民の関心度など、裁判所では総合的に判断されると覚えておきましょう。

 

不動産の火事がもらい火やボヤ程度でも告知事項になる判例がある


不動産の火事がもらい火やボヤ程度でも告知事項になる判例がある


 


不動産の火事がもらい火やボヤ程度なら、伝える必要がないと考えるかもしれませんが、告知事項を怠ったとする判例がでています。

 

以下でご紹介する判例では、隠れた瑕疵の存在がポイントといえそうで、売手や仲介会社の火事に対する意識が強ければ、大きなトラブルに発展しなかったと予想される事案です。

 

<台所で起きたボヤ火災の物件売買における判例>

 

・火災事故のいきさつ

 

売手はキッチンで調理中にボヤを起こしてしまい、天井から窓にかけての炎を自宅の消火器で消し止めました。

 

炎が広がったときに消防車をよびましたが、到着する前に鎮火しており、大きな火災にならなかったようです。

 

売手は火災跡が残った箇所は修繕工事をして、不都合のない生活を過ごし、売却にいたっています。

・ボヤ火災による不具合を認めた理由

 

ボヤによる住宅の損傷が明らかでなかったとしても、経年劣化を上回る不具合が生じる可能性があり、隠れた瑕疵に該当するからです。

 

また、消防車をよんでいるので、火災があった事実を近隣住民は知っており、購入希望者の購入意識を左右する原因として、心理的な影響が考えられる点も理由にあたります。

 

売手は不都合なく生活できたとしても、そのあと火災のあった住宅で生活する買手には、不都合の生じる可能性が十分考えられると判断されたようです。

 

さらに、この事案では、建物の外観に火災の跡が残っていたようで、はっきり認識できる不具合がありました。

 

事前に説明することで、買手は購入価格の交渉はもちろん、購入するかについても思慮できたと考えられるので、ボヤであっても告知したほうが安心できる判例といえるでしょう。

 

このように、表面で判断できるような火災跡を、見逃してしまうような不動産会社は、信頼性に疑問があるので注意するようにしましょう。

 

<もらい火やボヤでも告知事項にあたるのを忘れずに!>

もらい火やボヤで、大きな火災にいたらなかったとしても、自己判断で告知しないのはおすすめできません。

 

もらい火などでも火事は告知事項として、不動産会社や購入希望者に伝えるように心がけましょう。

 

告知によって売却が進まないと心配になるかもしれませんが、売却後にトラブルに発展するほうがかえって手間や労力がかかり、金銭的な負担も大きくなります。

 

さらに、状況によっては社会的信用を失い、人生に深い影を落とすかもしれません。

 

購入者の立場になって、どのような売買が気持ちよく取り引きできるか、想像するようにしてくださいね!

 

まとめ


 

不動産売却では火事は告知事項なので、もらい火やボヤ程度であっても必ず事実を伝えるようにしましょう。

 

特に隠れた瑕疵では、売手も気づかない場合があるので注意し、専門家に判断してもらうのがおすすめです。

 

きちんと告知事項を伝えれば、住宅の診断についてなど、よりよい売却をするための、さまざまな方法を教えてもらえるかもしれません。

 

自分だけの利益を考えるのではなく、売手目線になって売却を検討すれば、きっと満足度の高い不動産売買を実現できるでしょう!

 


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