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マンションの大規模修繕が迫る!売却に適したタイミングと確認事項とは

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア17年

【不動産】家を売るとき買うときはFReeYへ!

マンションの大規模修繕が迫る!売却に適したタイミングと確認事項とは

どんなにきれいなマンションでも、いつかは行われる大規模修繕。
実施するタイミングはマンションによって異なりますが、売却するつもりのマンションで大規模修繕が予定されている場合は、売る前にいろいろ確認しなければなりません。
今回は、大規模修繕が予定されているマンションの売却についてご紹介します。

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マンション売却にも影響する大規模修繕とは何か

マンション売却にも影響する大規模修繕とは何か

まず大規模修繕とは、マンション全体の劣化を食い止めて住みやすさを維持するために行われる工事のことです。
マンションは日頃からも維持管理が行われていますが、それはあくまで軽微なもので、すぐに対応できる不具合だけを修繕しても建物全体の劣化は食い止められません。
そこで全てのマンションでは、一定の周期で大掛かりな修繕工事を行う計画を立て、時期が来ると計画を実施することになっています。
なお、日常的に行われている維持管理と大規模修繕の内容には、以下の例があります。

日常的な維持管理

●共用廊下の電球交換
●共用部分の壁や床の小さなキズ・汚れの修繕
●共用部分の清掃・定期点検

大規模修繕

●マンションの外壁塗装
●給排水管の交換

管理費と修繕積立金の違い

マンション購入後にかかるランニングコストには、管理費と修繕積立金が含まれています。
どちらもマンションの維持管理に必要なお金で、住人みんなで平等に負担するお金ですが、使用目的は以下のように異なります。

管理費
マンションの日常的な維持管理に使われる費用です。
マンション管理を管理会社に委託している場合は、人件費なども管理費から賄います。

修繕積立金
大規模修繕を行う際に使われる費用です。
毎月住人から平等に徴収し、大規模修繕実施の時に備えて蓄えておきます。
なお、管理費・修繕積立金ともに収支などを確認するのは、そのマンションの住人で組織する管理組合です。

おすすめ記事|一戸建てが売れる期間はどれくらい?早期売却のポイントも解説

マンションを売却するタイミングとして「大規模修繕の実施前」がベストな理由とは

マンションを売却するタイミングとして「大規模修繕の実施前」がベストな理由とは

大規模修繕が予定されているマンションを売るのにベストなタイミングは、ずばり「大規模修繕の実施前」です。
実はマンションの修繕積立金は、いざ大規模修繕を実施しようとする段階で資金不足に陥っているケースが少なくありません。
大規模修繕の実施直前に資金不足が発覚すると、当然修繕積立金が値上げされて住人の負担も増えることは明らかです。
なお修繕積立金が不足する理由には、以下のことが挙げられます。

長期修繕計画が立てられていないor計画の期間が短い

マンションの大規模修繕には、長期修繕計画が欠かせません。
どんな工事をどのタイミングで行うのか決める長期修繕計画は、毎月支払われる修繕積立金の金額を決めるために重要なもので、このことは国土交通省の指針にも明記されています。
参考:国土交通省 マンション管理標準指針コメント(「四 建物・設備の維持管理」の章)
しかし国土交通省の調査によると、9.1%のマンションには長期修繕計画がありませんでした。
参考:国土交通省 平成30年度マンション総合調査結果(概要編)
また長期修繕計画があるマンションでも、修繕計画の期間が短すぎるケースもあります。
国土交通省は、マンションの標準的な修繕計画期間を「新築の場合は最低30年程度、それ以外は最低25年程度が標準的」としています。
大規模修繕は名称に「大規模」と付くくらいなので、工事実施の際は多額の費用がかかります。
とはいえ、修繕計画作成時に数十年後のマンションがどのくらい劣化しているのか、工事費はいくらくらいかかるのか正確に予測することはできません。
そこで国土交通省は、外壁工事を2回実施する期間を含め前回長期修繕計画を立てた時期から25年程度(新築マンションなら30年程度)を標準として、計画内容の見直しや再作成などを推奨しています。
※新築マンションの標準的な修繕計画期間が30年となっているのは、25年だと給排水管の工事やエレベーターの工事などが含まれないため。
修繕計画の期間が長期だと期間中に必要な大規模修繕の内容が分かり、工事実施までに修繕積立金をいくら貯めておくのか、各世帯に負担してもらう月々の費用はいくら必要なのかも計算できます。
そのため多くのマンションは国土交通省が示した標準的な期間を目安に長期修繕計画を立てていますが、それより短いスパンで修繕計画を立てているマンションも存在するのです。
修繕計画のスパンが短いと、それより周期が長い大規模修繕の項目が漏れやすくなり、修繕積立金も足りません。

工事費が高騰している

マンションの大規模修繕を行う際にかかる工事費は、ここ数年高騰し続けています。
そのため、長期修繕計画を立てた頃に予測していた工事費より工事を実施するタイミングの費用が高くなってしまい、修繕積立金が不足するのです。
ちなみに「平成30年度マンション総合調査結果」によると、調査時点より長期修繕計画を立てた当時の修繕積立金が不足していると判明したマンションは34.8%でした。
しかも修繕積立金が20%以上不足しているマンションの割合は、15.5%にも上っています。

新築時の修繕積立金の設定が甘い

国土交通省は、修繕積立金の積み立て方法として均等積立方式と段階増額積立方式の2種類を挙げています。
参考:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン

均等積立方式
均等積立方式とは、長期修繕計画を立てた期間中の修繕積立金を定額で積み立てていく方法です。
この方法は、たとえ15年後でも30年後でも積み立てる金額が変わらないため、段階的に増える大規模修繕の工事費を賄いやすいメリットがあります。
※長期修繕計画の見直し次第では、修繕積立金の値上げがやむを得ない場合もあり。

段階増額積立方式
段階積立増額方式とは、新築当初からの経過年数に応じて段階的に修繕積立金を増額する方法です。
この方法は新築として購入する段階でのランニングコストが低く抑えられるメリットがありますが、当初の計画通りに修繕積立金を徴収できなくなる恐れも否めません。
日本には、マンションを購入した方(区分所有者)を対象にした区分所有法という法律があり、修繕積立金などの改定を行う場合は区分所有法に則って総会を開催し値上げの可否を決めます。
しかし修繕積立金の値上げ案は、「総会に出席している区分所有者の過半数」が賛成しないと否決されてしまいます。
いくら段階増額積立方式が設定されていても、総会で修繕積立金の値上げが否決されてしまえば、当初の計画通りの積み立ては叶いません。

修繕積立金が値上げされると売却価格が下がりやすい!?

大規模修繕が実施される前にマンションを売却した方がいいもう一つの理由は、修繕積立金の値上げが売却価格の値下げにつながる可能性があるためです。
マンション購入を希望している方のほとんどは、購入後のランニングコストがどのくらいかかるのかも試算して物件を選んでいます。
マンション購入後のランニングコストの大部分を占めるのは住宅ローン・管理費・修繕積立金で、購入希望者はこの合計額を基に予算を組み立てます。
しかしランニングコストの合計額が同じでも、修繕積立金が高くなるほど住宅ローンに充てられる予算=借入可能額が減ってしまい、希望のマンションを買えないかもしれません。
売却予定のマンションが段階増額積立方式で修繕積立金を決めていた場合、購入希望者に「今の修繕積立金はこの額だけど、いずれ値上げされる」と伝えれば、買う側としては購入意欲が下がってしまいます。
そうなれば売却活動が滞り、早く売りたいがために売却価格を値下げする可能性もあります。
少しでも高く売りたいと思う売主の心理とは裏腹に、修繕積立金の値上げはスムーズなマンション売却の妨げになるのです。

あわせて読みたい|所有する駐車場を手放したい!不動産取引の流れや売却の際のポイントとは?

大規模修繕前にマンションを売却したい売主があらかじめ確認するべきこと

大規模修繕前にマンションを売却したい売主があらかじめ確認するべきこと

大規模修繕前にマンションを売ることが売主にとっていいタイミングといえども、あらかじめ確認しておくべきことがあります。
それは長期修繕計画の有無・大規模修繕の実施時期・修繕積立金の値上げの可能性です。

3つの項目を確認する理由

管理状態が良好なマンションには、国土交通省が示した標準的な計画期間を満たす長期修繕計画が立てられています。
その中にはいつ頃大規模修繕が行われるのか、実施の際はどのくらい工事費が必要なのかなどが記載されているので、長期修繕計画があればまずはこちらを確認しましょう。
そして長期修繕計画と併せて確認する資料が、収支計画表です。
収支計画表には「これまで積み立ててきた修繕積立金の金額」と「今後積み立て予定の金額」が記載されているので、このデータを基に将来の大規模修繕に必要な資金を賄えるのか試算します。
試算の結果、今後実施予定の大規模修繕の工事費が賄えるようであれば、修繕積立金が値上げされる心配はいりません。
長期修繕計画の書類と収支計画表は、マンションの管理組合や管理会社などに問い合わせると取得できます。

修繕項目も確認する

長期修繕計画の内容を確認する際は、修繕項目も確認しましょう。
長期修繕計画がある=全ての修繕項目を網羅しているとは限らず、何かしら記載漏れがあるかもしれません。
万が一工事費が高額になりやすい修繕項目が漏れていると、計画見直しの際に修繕積立金が値上げされてしまう可能性もあります。
国土交通省のマンション管理標準指針コメントには、修繕が必要な項目と修繕周期をまとめた表も掲載されています。
売却予定のマンションの長期修繕計画に記載されている修繕項目を確認する際は、ぜひ照らし合わせてみてください。

要チェック|オススメ物件一覧

まとめ

マンションを所有する以上、大規模修繕は避けて通れない重要事項です。
売却予定のマンションの長期修繕計画の有無や大規模修繕の時期などを把握することは、余分な負担が増える前にマンションを売れるチャンスを逃しません。
現在マンションの売却を検討している方は、売る前にぜひ大規模修繕について調べましょう。

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