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身内への不動産売却時の注意点とみなし贈与とみなされないための対策

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア17年

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身内への不動産売却時の注意点とみなし贈与とみなされないための対策

親子や兄弟といった親族の間で、所有している不動産を譲ることは珍しくありません。
相続対策として親から子へ、また兄弟で相続した不動産を譲るといったケースが考えられます。
親族間で不動産を譲る手段としては、「売買」と「贈与」が考えられます。
贈与の場合、費用を払うことなく不動産を譲り受けられますが、代わりに高額な贈与税を支払わなければなりません。
それなら売買にしておこう、と売買したにもかかわらず、みなし贈与とされて贈与税が課税されることがあるため注意が必要です。
そこで今回は、不動産を身内に売却するときの注意点と、みなし贈与とされないための対策についてご紹介します。

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不動産を身内に売却するときの注意点

不動産を身内に売却するときの注意点

不動産を身内に売却するときに、注意しておきたいポイントを3つ解説します。

「売却」ではなく「みなし贈与」とされる可能性がある

身内に不動産を売却するときには、売却による「利益を出す」ことを考えていないケースが多いです。
親から子に譲り渡すときなどは、子どもに負担をかけないよう、できるだけ安く譲りたいと考えるケースが多いでしょう。
そのため身内間での不動産売却の価格は、時価よりも低額になることが多いのが一般的です。
しかし売却価格が、時価よりも明らかに低い場合には、差額分を「みなし贈与」と判断されて、高額な贈与税を納めなければならない可能性があるので注意が必要です。
みなし贈与については、次章で詳しく説明します。

トラブル回避のためには身内でも契約書を作成する

贈与ではなく、売買をしたことを証明してトラブルを回避するためには、身内であっても、きちんと不動産売買契約書を作成することがポイントです。
契約書は、不動産取引が誰と誰の間で、いくらで行われたのかを証明できる書類です。
契約書には、売却価格や支払日、名義変更する日付、固定資産税の負担方法など、取引の内容を詳細に記載できるようになっています。
しかし契約書は、きちんと効力が発揮できるように作成する必要があります。
法的に不備のない契約書を作成するには、不動産取引についての深い知識が必要になるので、不動産会社に仲介を依頼し、作成してもらうことをおすすめします。

住宅ローンが通りにくいことがある

親族間の不動産売買の注意点として、住宅ローンが通りにくいことが挙げられます。
一般の銀行で、融資してくれるところはほとんどないと考えておかなければなりません。
住宅ローンは住宅の購入のための融資ですが、親族間で取引された場合、融資したお金が売主側に渡ることなく、借金の返済など別の用途に使われてしまう可能性があるためです。
また住宅ローンを組むときには、保証会社に保証人になってもらうことも多いですが、保証会社は身内同士での取引では利用できないことがほとんどです。
保証会社の審査に通らなければ融資は下りないので、住宅ローンを使える可能性はかなり低いと考えておく必要があるでしょう。

「3000万円の特別控除」を利用できない

マイホームを売却したときには、売却によって得た譲渡所得から3000万円を控除できる「3000万円特別控除」の特例があります。
しかしこの特例は、親子や夫婦、生計を同じくする親族間での売買には利用できないとされています。
そのため売却金額によっては、高額な所得税が発生する可能性がある点には注意が必要です。

あわせて読みたい|一戸建てが売れる期間はどれくらい?早期売却のポイントも解説

身内への不動産売却でみなし贈与とされないための対策

身内への不動産売却でみなし贈与とされないための対策

身内に不動産を売却するときの注意点として挙げた、「みなし贈与」についてご紹介し、みなし贈与とされないためにはどのような対策をとるとよいのかをご紹介します。

一般の贈与とみなし贈与の違い

一般的に贈与税は、お互いに「譲る」「譲られる」の明らかな意思のもと、無償で財産を譲り受けたときに課税されます。
しかしそういった意志がなかったにもかかわらず、贈与税が課税されることが「みなし贈与」です。
たとえば親が所有している時価3000万円のマンションを、子どもに1000万円で売却したとします。
親にしてみれば、子に安く「売却」しただけであり、贈与したつもりはありません。
子にしても、タダで譲り受けたわけではなく、1000万円支払っているため「贈与にはあたらない」と考えるでしょう。
しかし税法上は、このような時価と大きくかけはなれた売買は認められていません。
時価との差額である2000万円は、贈与されたとみなされます。
身内の間での低額な売買を認めてしまうと、贈与税の支払いを逃れる抜け道となってしまうためです。
みなし贈与とみなされないためには、以下のような対策をおこないましょう。

対策①価格設定に注意する

みなし贈与と判断されるのは、時価よりも明らかに安い価格で不動産の取引を行ったときです。
つまり時価に沿って売買を行えば、みなし贈与とはみなされません。
しかしいくらが適正かというと、判断が難しくなります。
不動産鑑定士に鑑定してもらうと信頼性がありますが、鑑定料が発生してしまうため、不動産会社に査定を依頼し、平均値を出す方法が一般的です。
もしくは相続税評価額を2割で割り戻す、固定資産税評価額を3割で割り戻すなどして、時価に近づける方法もあります。
過去の裁判所の判例から、時価のおよそ80%以上であれば、みなし贈与とはされないと考えられているため、ここを基準とするとよいでしょう。

対策②贈与税の非課税枠を利用する

贈与税には、さまざまな特例が用意されているので、そういったものを活用するのも方法のひとつです。
たとえば贈与税は、1年間で贈与を受けた金額が110万以下の場合、贈与税が課されない「基礎控除」があります。
また婚姻期間が20年を超える夫婦であれば、居住用不動産の贈与は2000万円まで非課税です。
60歳以上の親、もしくは祖父母から、20歳以上の子や孫への贈与は、2500万円まで非課税になる「相続時精算課税の特例」もあります。
身内から不動産を譲り受ける際に、こういった制度を利用できないかを確認するようにしてください。

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身内への不動産売却時に不動産会社を入れるべき理由

身内への不動産売却時に不動産会社を入れるべき理由

身内間で不動産売買をするときには、契約書の作成やみなし贈与にあたらないような価格設定などを慎重に行う必要があります。
しかしこのような作業は、不動産取引に対する一定レベル以上の知識が必要になるため、基本的には不動産会社に仲介に入ってもらうのがおすすめです。
不動産会社であれば、親族間の売買に際してみなし贈与とならない適正な価格提示が期待できます。
また不動産会社が入っていれば、適正な価格での取引が行われたと判断されることが多く、融資を受けられる可能性がでてくるため、住宅ローン対策としても有効です。
きちんと不動産会社を通すことにより、ほかの親族に対して取引の透明性や客観性を証明できることも、トラブル対策として効果的です。

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まとめ

身内間での不動産取引は、時価よりも安く売却した場合にはみなし贈与とみなされる、金融機関から融資を受けられない可能性があるなどのリスクがあります。
とくにみなし贈与とされた場合には、高額な贈与税が発生するので、売却価格には十分注意しなければなりません。
トラブルを防ぐためには、身内間の売買であっても、きちんと契約書を作成する、時価に近い価格で取引を行うことが大切です。
不動産取引を行うには一定レベルの知識が必要になるため、たとえ身内同士での売買であったとしても、不動産会社を間にはさむことをおすすめします。

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