不動産売却における按分とは?按分の計算方法もあわせて解説
不動産の売却は、誰もが経験するようなことではありません。
一生に一度、多くても数回といった方がほとんどで、これまで聞いたことがない言葉や用語に出くわして、とまどうことも多いものです。
そのひとつに「按分(あんぶん)」があります。
今回は、不動産を売却するときに知っておくべき按分とはどのようなものなのか、計算の流れと注意点もあわせて詳しく解説していきます。
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不動産売却における按分とは、土地と建物でひとまとめにされた不動産の価格を、それぞれいくらなのかを決めることを意味します。
不動産を売却するときには、土地と建物をひとつにまとめて売却価格を提示するのが一般的です。
広告などを見ても、土地と建物の価格が別々に表示されているのを見ることは、ほとんどといっていいほどないでしょう。
しかし、土地と建物のそれぞれが実際にどれくらいの価格なのかは明確にしておく必要があります。
はじめから土地と建物の内訳がわかっていれば良いのですが、そうでなければそれぞれの価格を算出するために按分を行います。
不動産売却で按分が必要な理由
按分とは、土地と建物のそれぞれの価格を決めることですが、按分が必要になるのは、消費税を計算する必要があるためです。
同じ不動産であっても、実は消費税がかかるのは家だけで、土地には消費税がかかりません。
これは、家は経年により劣化していく、つまり「消費する」ものであると考えられるのに対し、土地は消費するものではないと考えられているためです。
不動産を売却したときには、売主は建物ぶんの消費税を税務署に納める必要があります。
そのため土地と建物でひとまとめになった不動産価格を、土地と建物それぞれに分けなければなりません。
不動産における按分とは、消費税を正確に計算するために行うのです。
土地と建物を按分する方法
土地と建物を按分する方法は、以下の4つが考えられます。
●当事者間で決める
●取引時の時価を基準に按分する
●売却時の固定資産税評価額に基づいて按分する
●不動産鑑定士の評価額に基づいて按分する
実は土地と建物の按分の比率は、「こうするべき」といった明確な基準がありません。
基本的にはどのように決めても良く、当事者間で話し合って決定しても問題ないとされています。
しかし、話し合いで互いに納得できれば良いのですが、売主と買主はお互いそれぞれできるだけ建物にかかる消費税の負担額を減らしたいと考えるため、なかなかうまくいきません。
時価をもとにする方法も、どのように時価を計算するのかが問題になります。
そのため、お互い合理的に納得できる方法として、固定資産税評価額、もしくは不動産鑑定士の評価額を用いて按分する方法が選ばれます。
理想的には、国家資格を持つ不動産鑑定士の鑑定評価を依頼するのが、法的にもっともリスクのない方法です。
しかし、不動産鑑定士に依頼すると、鑑定料に数十万の費用が発生してしまいます。
そのため固定資産税評価額をもとにして按分するのが、現実的な方法として選ばれることがほとんどです。
不動産売却における固定資産税評価額をもとにした按分の流れ
ここからは不動産売却において、固定資産税評価額をもとに按分する流れを、以下の不動産を例に用いて紹介します。
●税込み取引総額:4,160万円
●土地の固定資産税評価額(売却時):1,500万円
●建物の固定資産税評価額(売却時):1,000万円
●消費税率:10%
建物割合を計算する流れ
まずは、それぞれの固定資産税評価額から、建物の割合を計算します。
建物割合は、建物の固定資産税評価額を、土地と建物の固定資産税評価額を合算した価格で割ることで算出します。
1,000万円 ÷(1,500万円+1,000万円)=40%
土地割合は、全体を100%として、建物割合を差し引いたものとします。
100%-40% = 60%
建物割合40%、土地割合60%と算出されました。
消費税を計算する流れ
消費税は建物にだけかかるため、建物の価格割合に消費税率をかけあわせて、税込みの価格割合を計算します。
建物割合40% × (1+消費税率10%)= 40% ×1.1= 44%
取引が税込みで行われている場合、税込み価格は土地割合と税込み建物価格割合を合算したものになります。
税込み価格の割合=土地割合+税込み建物価格割合=60%+44%=104%
ここから税抜きの取引総額を算出します。
税抜き取引総額=税込み取引総額×(100%÷税込み価格の割合)=4,160万円×(100÷104)=4,000万円
税抜きの取引総額は、4,000万円と算出されました。
土地価格と建物価格を按分して算出する流れ
最後に、土地と建物の価格を、土地割合は60%、建物割合は40%に基づいて按分します。
土地価格=税抜き取引総額×60%=4,000万円×60%=2,400万円
建物価格=税抜き取引総額×40%=4,000万円×40% =1,600万円
不動産売却で土地と建物に按分する際の注意点
不動産売却における按分とは、建物にかかる消費税を計算するためのものとわかりましたが、注意点が2つあります。
●売主と買主の双方が納得できる方法を選ぶ
●客観的にも合理的とされる方法を選ぶ
それぞれどういった内容かを説明します。
注意点①売主と買主の双方が納得できる方法を選ぶ
土地と建物を按分するときの1つ目の注意点は、売主と買主の双方が納得できる方法を選ぶことです。
これまで売却する側の視点で建物と土地の按分について見てきましたが、実は不動産がどのように按分されるかは、買主側にとっても重要な問題です。
それは、どのように按分されるかによって、双方の消費税の負担額が変わってくるからです。
売主側は消費税を支払う必要があるので、できるだけ建物の比率を下げたいと考えます。
支払う消費税は、買主から預かったものではありますが、税額が高ければ手元に残る利益は減ってしまうため、売主としては建物の按分が小さいほうが得なのです。
対して買主側は、消費税を支払ったぶんは後日控除できるので、建物の比率が高いほうが多くの還付金を受け取れます。
お互いのメリットが正反対となることから、建物の按分を巡ってトラブルになるケースは少なくありません。
建物と土地の按分比率を決めるときには、話し合いで決めるのは現実的ではありません。
双方が納得できる、合理的な方法を選ぶようにしましょう。
注意点②客観的にも合理的とされる方法を選ぶ
2つ目の注意点は、客観的にも合理的とされる方法を選ぶことです。
不動産を土地と建物に按分する方法に決まりはなく、双方で話し合って決めても問題はありません。
しかし、話し合って決めた結果があまりにどちらかに偏っている場合は、のちのちさまざまな問題が発生する可能性があります。
たとえば買主側は、購入した建物を中古資産として減価償却していくことになります。
しかし、建物の按分を極端に低くしているような場合には、減価償却費も適正でないと指摘されて問題になることがあります。
第三者間での売買ではあまり考えられませんが、親子間や親戚間ではどちらかを有利にしようと考えることがあることから起こる得ることです。
不動産を按分するときには、誰が見ても合理的と判断する方法を採用することが大切です。
まとめ
不動産売却における按分とはどういったものなのか、計算の流れや注意点も含めて解説してきました。
按分する方法はいくつかありますが、売主と買主が双方納得できる、そして第三者が見ても合理的と判断する方法を選ぶようにしてください。
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