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再建築不可物件を売却する方法とは?接道義務を満たす方法はあるの?

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア17年

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再建築不可物件を売却する方法とは?接道義務を満たす方法はあるの?

一般的に「再建築不可物件」は売却しにくいとされています。
自宅が再建築不可物件で、売却できないのでは…と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、そもそも売却不可物件とはどのような家なのか、なぜ売却しづらいのかを解説するとともに、売却する方法を紹介していきます。

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売却方法が限定される「再建築不可物件」とは

売却方法が限定される「再建築不可物件」とは

「再建築不可物件」とは、その名のとおり一度取り壊すと再度建築が許可されない物件のことです。
家を建てるときには、建築基準法が定める以下の接道義務を守る必要があります。

●建物の敷地(間口)が2メートル以上道路に接している
●接している道路の幅(幅員)が4メートル以上ある


接道義務は1950年(昭和25年)に制定されたため、それ以前に建てられた住宅は基準を満たしていない可能性があります。
都市計画区域が定められていないエリアや、自治体が独自のルールを定めているケースもありますが、基本的には接道義務が守られていないと再建築不可物件とされます。
再建築不可物件は、建物のリフォームは可能ですが、建築確認を必要とされる増築や新改築は行政の許可が下りません。

再建築不可物件の種類とは

再建築不可物件となる不動産には、以下のような種類があります。

旗ざお地
細い道路から奥に向かって進んだ先に住宅が建っている、旗のような形状をした土地のことです。
旗の竿に該当する部分が道路に接していますが、その部分が2メートル以下のときには再建築不可とされます。

ほかの住宅や土地に囲まれている
住宅が完全にほかの住宅や土地に囲まれて、まったく道路に接していないこともあります。
相続などで土地を分けあったといったケースで見られます。

道路に接してはいるが建築基準法上の道路ではない
道路に接しているものの、接している道路が4メートル以下の場合も接道義務を満たしたとはされず、再建築不可物件になります。

再建築不可物件の売却方法が限定される理由とは

再建築不可物件の売却方法が限定される理由とは

再建築不可物件は売却方法が限定され、購入者を見つけるのが難しいのが現実ですが、理由は大きく分けて3つあります。

建て替えられないのでリスクが高い

売却しづらい理由のひとつは、将来的に建て替えができないため買主にとってリスクが高くなることです。
たとえ今は物件の状態がいいとしても、数十年先はどうなっているかわかりません。
家族が増えたから増築したいと考えたとしても許可が下りないので、今のまま住み続けることになります。
さらに地震や火災といった災害で家が倒壊した場合でも、新しく建てることができないのです。
将来的なリスクがあるとわかっていながら、積極的に購入したいと考える人は多くはないでしょう。

買主が住宅ローンを組めない

再建築不可物件の売却が難しい2つ目の理由は、買主が住宅ローンを組めないことです。
不動産の購入は高額になるため、ほとんどの人が住宅ローンを組みます。
しかし再建築不可物件は担保価値が低いので、住宅ローンの審査に通りません。
倒壊してしまうと建て替えられないので、ローンを払えなくなると考えられることも融資を受けられない理由です。
住宅ローンを組めなければ、現金で購入してくれる買主を探すしかなく、ますますハードルが上がります。

物件自体が古く安全性を担保できない

再建築不可物件は、物件自体が古いため安全性を担保できないことも売却しづらい理由です。
接道義務が制定されたのが1979年(昭和54年)であることを考えると、住宅は少なくとも築後40年が経過していると考えられます。
よくメンテナンスされていて状態がいい家も少なくはありませんが、木造住宅なら法定耐用年数は22年とされているため、建物の価値は失われているとみなされます。
鉄筋鉄骨コンクリート造であっても法定耐用年数は47年なので、すでに過ぎている家もあるでしょう。
住宅の老朽化は進むのに建て直す選択肢がないことは、買主側には大きなリスクとなってしまうのです。

再建築不可物件の売却を可能にする方法とは

再建築不可物件の売却を可能にする方法とは

建物が倒壊しても建て直せない、住宅ローンが組めないといった理由から売却が難しい再建築不可物件ですが、売却が不可能なわけではありません。
ここからは、再建築不可物件の売却を可能にする方法を紹介していきます。

再建築可能にする方法

接道義務を満たして再建築可能にすれば、売却の障害はなくなります。
接道義務を満たす方法としては、以下の3つが考えられます。

●セットバックする
●隣地を購入または借地する
●43条但し書き道路の申請をする


それぞれ詳しく解説します。

セットバックする
接道義務に関する道路は公道だけに限らず、土地計画法や土地区画整理法などに基づく、または道路位置指定を受けている幅員4メートル以上ある道路も含まれます。
土地が接している道路がこれら建築基準法により道路と定められているものであるなら、道路の中心線から水平距離2メートル以上建築地を後退させると再建築が可能になります。
このように土地を後退させることをセットバックといい、接道義務を満たす方法のひとつです。
セットバックした土地は、建築面積に制約はあるものの再建築できるようになるため、売却への支障は少なくなります。

隣地を購入する
土地が2メートルの接道義務を果たしていないときには、道路までの土地を所有している所有者から購入するのもひとつの方法として検討しましょう。
接道義務を満たすだけなら購入ではなく借地でも可能ですが、売却を考えるのであれば購入するのが無難です。
借地の場合、なんらかの理由で借地の権利を失ったとき、再度再建築不可となる可能性が高く、買主にとってはやはりリスクと映るためです。

43条但し書き道路の申請をする
「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接する必要がある」とする建築基準法43条には、但し書きがされています。
そのため敷地が道路に接していなくても、周囲の状況、建物の条件などによっては建築を許可されるケースも少なくありません。
但し書き道路として許可をもらえれば接道義務を満たせるので、自治体の担当部署に相談してみるのも方法のひとつです。

隣地所有者に売却の相談をする

住宅が再建築不可物件となっている場合は、隣地所有者に売却の相談をするのも方法のひとつです。
隣地が接道義務を果たしているなら、合筆することで再建築不可の問題はなくなります。
隣地所有者にとっても、土地が広がる、土地の形状がよくなるといったメリットを得られる場合があります。
子どものために近くの土地を探している、というケースは珍しくないので、声をかけてみる価値はあるでしょう。

更地にすると売れなくなるので注意する

再建築不可物件の多くは築40年を超えた古い建物になりますが、老朽化しているからといって更地にしてしまうことは避けましょう。
建物を取り壊してしまうと、そこに新しい家を建てることはできないため、住宅地として売却することはほとんど不可能になってしまいます。
再建築不可物件が立つ土地を売却する際は、建物は残したままで、接道義務を満たす方法を考えることが大切です。

まとめ

再建築不可物件は、買主にとっては所有するリスクが極めて高く、住宅ローンも組めないことから売却が難しいのが現実です。
しかしセットバックする、隣地の一部を購入するなどで接道義務を満たすことが可能なケースも少なくありません。
まずは隣地の所有者に土地の購入や売却の相談をしたうえで、接道義務を満たす方法を考えましょう。

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