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災害リスクの高い不動産は物件売却できる?災害の種類別に解説

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア19年

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災害リスクの高い不動産は物件売却できる?災害の種類別に解説

「近くに川があって氾濫が心配」「土砂崩れの可能性があるといわれたけれど売却できるのか不安」といった声を多く聞くようになりました。
近年地球温暖化の影響で、各地で豪雨被害や河川の氾濫による洪水・土砂崩れが相次いでおり、不安に感じる人が増えているようです。
そこで今回は、災害リスクが高い物件売却について、災害の種類別に注意点などを含めて解説していきます。

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災害リスクが高い物件売却<土砂災害編>

災害リスクが高い物件売却<土砂災害編>

災害リスクが高い物件売却について、まずは土砂災害の心配がある物件とはどのようなものなのかを確認しておきましょう。

土砂災害の危険がある物件とは

土砂災害の危険がある物件とは、大雨が降ったときなどに傾斜が急な場所に土石流や地滑りが発生し、住んでいる人の命に危険が及ぶ恐れがある物件を指します。
一口に土砂災害の危険がある物件といっても、主に以下の4つのパターンがあります。

●土砂災害警戒区域
●土砂災害特別警戒区域
●造成宅地防災区域
●崖の近くにある物件


それぞれどのような内容なのかをご紹介します。


土砂災害警戒区域
「土砂災害防止法」では、土砂災害の危険性を2段階に分けており、「土砂災害警戒区域」がその一つです。
土砂災害警戒区域に指定されたとしても、建築制限は設けられません。
しかし災害リスクが高いことは事実であるため、市町村が作成するハザードマップにはそのエリアが土砂災害警戒区域であることが表示されます。
また対象区域の不動産を売買するときには、「重要事項説明書」にその旨を記載することが義務づけられています。

土砂災害特別警戒区域
「土砂災害防止法」で定められているもう一つの区域が、「土砂災害特別警戒区域」です。
土砂災害特別警戒区域は、土砂による災害リスクが非常に高いとされていることから、宅地を売買する際には、都道府県知事の許可が必要とされています。
また許可に関しても、崖の崩落を防ぐために補強する、家自体を頑丈なものにするといった対策を施すことが求められ、満たせなければ許可されません。
さらに土砂災害が発生したとしても耐えられる外壁を選ぶなど、建築制限も設けられます。
危険が迫った状況になると、都道府県知事が区域の外に移転を求めることもあるなど、土砂災害特別警戒区域にはさまざまな制限が設けられていることが特徴です。
なお土砂災害警戒区域と同じように、売買契約時には重要事項説明書へ記載し、区域内であることの説明を買主に対しておこなうことが義務づけられています。

造成宅地防災区域
「造成宅地等規制法」で指定された区域が「造成宅地防災区域」です。
宅地用に造成された土地のうち、地震などが発生すると、地盤や地層が動いて災害リスクが高まる可能性のある区域を指します。
この区域内では、擁壁を設置するなどして、災害防止に努めるよう求められる場合があります。
造成宅地防災区域にある物件に関しても、売買契約時に重要事項として記載し、買主に説明する義務があります。

崖の近くにある物件
崖の近くに物件がある場合も、大雨などで地滑りが起こると崖が崩落する危険性があります。
崖がどんな土質をしているのかによっても土砂災害リスクは異なりますが、一般的には傾斜が30度以上あると危険とされています。
そのため崖の高さの2倍以上離れていなければ、安全とはいえません。

土砂災害リスクが高い物件売却の注意点

土砂災害リスクが高い物件を売却する際の注意点を紹介していきます。

土砂災害警戒区域の物件売却の注意点
建築制限が課されない土砂災害警戒区域にある物件は、とくに支障なく売却できると考えられます。
ただし近年は災害リスクの低さを重視する人が増えているので、今後は相場よりも低くしなければ売却が難しくなる可能性は否めません。
売却時には、土砂災害発生時の避難経路や避難場所をしっかりと買主に説明し、兄さん感を持ってもらうことが大切です。

土砂災害特別警戒区域の物件売却の注意点
土砂災害特別警戒区域にある物件は、売買に都道府県知事の許可が必要なうえ建築に関する条件が厳しく、危険が伴うことから売却が難しいのが現実です。
売却後のトラブルを避けるためにも、土砂災害特別警戒区域にある物件の売却に実績と経験がある不動産会社に依頼するのが賢明です。

造成宅地防災区域の物件売却の注意点
造成宅地防災区域内にある物件については、崩落などの危険を防ぐために擁壁の設置を求められる可能性があります。
都道府県知事が是正や改善の勧告をおこなうことも考えられ、売却のハードルはかなり高くなるでしょう。
スムーズに売却するために、擁壁の設置費用を負担したり差し引いたりする工夫が求められます。

崖の近くにある物件売却の注意点
近くに崖がある場合も、災害リスクの高さから、買主は購入に二の足を踏みがちです。
地域によっては崖の高さに対して2倍以上の距離を保つなど、規制が設けられていることもあるのでまずは確認するようにしましょう。

災害リスクが高い物件売却<洪水編>

災害リスクが高い物件売却<洪水編>

土砂災害に続けて、洪水による災害リスクが高いエリアにある物件売却について解説していきます。

洪水の危険がある物件とは

洪水による災害リスクが高い区域については、ハザードマップで範囲が示されるのが一般的ですが、土砂災害や津波のように、法的に区域が指定されることはありません。
洪水の危険性があるかどうかは、基本的には過去の洪水被害に基づいて判断されます。
なお売却する物件が水害ハザードマップでどの区域にあるのかは、重要事項説明書への記載と買主への説明が義務づけられています。

洪水リスクが高い物件売却の注意点

過去に洪水の被害にあったことがあるエリア内にある物件でも、駅に近いなど利便性が高ければ、売却価格に影響することはあまりないとされています。
ただし、過去に洪水が発生したということは、再度同じ被害にあう可能性がぬぐえません。
そのため過去の洪水被害については、重要事項説明書できちんと告知しておくことが大切です。
洪水被害については不動産会社が把握していないケースもあり、あとになって発覚すると、契約不適合責任を問われる可能性があるので注意が必要です。

災害リスクが高い物件売却<津波編>

災害リスクが高い物件売却<津波編>

最後の災害リスクとして、津波のリスクが高い物件売却について解説します。

津波の危険がある物件とは

津波の危険がある物件とは、「津波防災地域づくりに関する法律」に基づき、都道府県知事が指定した「津波災害警戒区域」内にある物件を指します。
津波による災害リスクが非常に高く、住民の命に危険が及ぶ可能性があることから警戒避難態勢を優先的に整備する必要のある区域です。
津波災害警戒区域には、とくに建築制限が設けられていないオレンジゾーンと、想定される基準水面より低い位置に人が居住することを想定した部屋を設けられないレッドゾーン(津波災害特別警戒区域)があります。
いずれの場合も、物件の売買時には、重要事項説明書への記載と説明義務が課されています。

津波リスクが高い物件売却の注意点

津波リスクのある家の売却に関しては、オレンジゾーンであれば建築制限もないためとくに問題なく売却できると考えられます。
レッドゾーン内では、建築制限があることから、相場よりも低価格で売買されるのが一般的です。
なかなか買い手が見つからないなど、場合によっては買い取り専門の不動産会社の利用を検討したほうがいいでしょう。

まとめ

災害によるリスクの高い物件売却について、災害の種類ごとに詳しく解説してきました。
災害被害にあう危険性が高い物件については、買主が慎重になりスムーズに進まないことがほとんどです。
少しでも売却を有利に進めるためには、同じような物件の売却経験と実績のある不動産会社を見つけることが大切です。

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