事故物件の告知義務違反とは?新たなガイドラインの基準
所有する不動産を売却しようとする際、自分が知っている物件に関する情報をどこまで買主に伝えるべきかに悩んでいませんか?
物件の損傷や不具合を隠すのは告知義務違反に問われますが、老衰などの自然死や転倒による事故死なども買主に伝える義務はあるのか、不動産売却における告知義務について解説します。
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不動産売買には、物件の不具合や欠陥などを取引相手に必ず伝える告知義務がありますが、2021年5月に国土交通省から新たなガイドラインが発表されました。
不動産売却における4種類の告知義務とは?
不動産を売却する際には、売主は買主に対して売却物件の正しい現状を伝える義務があり、この義務のことを告知義務と呼びます。
告知義務には建物の劣化や不具合などの物理的な瑕疵、ゴミ処理場や作業音の大きな工場が近くにあるなどの環境的瑕疵、建築に規制がかかるエリアなどの法律的瑕疵があります。
なかでも主観的な判断による心理的瑕疵は、大小さまざまなトラブルの原因となるもので、火葬場が近くにある、殺人事件や自殺が起きたなどを必ず伝えなくてはなりません。
国土交通省が定める人の死の告知に関するガイドラインとは?
これまでも4種類の瑕疵について信義則上の告知義務はありましたが、心理的瑕疵について明確な告知の基準が定められていませんでした。
そのため、個々の不動産売買の際に買主に告知すべき内容なのかどうかの判断が困難な場合、円滑な流通と安心した取引を阻害しているのではないかと懸念されてきました。
また、事故物件になることを恐れて、高齢者の入居が敬遠されている現状を改善するためにも、2021年5月に国土交通省が人の死に関する告知のガイドラインを発表しました。
人の死に関する告知義務では、取引相手の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、告知しなければならないとするのがこれまでの基準です。
新たに発表された基準では、自然死や日常生活のなかでの不慮の事故による死については、告知しなくても良いとされました。
ただし、発生場所が室内か、建物で通常使用される共用部分か、日常生活において通常使用されない共用部分かで告知期限の定めは異なります。
上記のなかでは、通常使用される共用部分で特殊清掃を必要とする人の死に関する事案が起きた場合は、発覚から3年間は告知する義務があるとしています。
さらにいえば、賃貸物件と売買物件では告知期間の定めが異なっており、賃貸物件では3年が経過すれば告知義務は消滅しますが、売買物件では期限の定めは無期限です。
たとえ、人の死があった建物を取り壊して更地にしたとしても、告知すべき人の死がなかったことにはされないので、告知義務は残されます。
新たなガイドラインではより明確に告知義務の内容が線引きされ、事故物件を売却する際には告知義務に触れる内容はないか、事前に確認しておくと良いでしょう。
事故物件であることを告げない?告知義務違反をするリスク
売主が故意に事故物件であることを告げずに売買契約を締結した場合、どのようなリスクが発生するのか、民法改正でより厳しくなった売主側の責任を知っていますか?
事故物件の売却で告知義務違反をするとどうなる?
事故物件であることを隠して売却し、あとからそのことが発覚すると告知義務違反として、買主から損害賠償の請求や契約解除を突きつけられます。
2020年4月に民法が改正され、引き渡された目的物が契約内容に適合しない場合、買主は補修・代替物の引き渡し・不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができるようになりました。
これまでは、告知義務違反に対して損害賠償請求と契約解除のみでしたが、補修費用と代金減額請求が加わり、売主側の責任や契約不適合の範囲が大きく追加されています。
事故物件だと告げなかった場合、それがあとから発覚すると買主が請求した損害賠償金を支払い、買主が物件から転居する費用を負担し、売買契約は解除されてしまうということです。
これらの金銭的リスク、裁判に関わる精神的な負担を考えると、告知義務違反をしてまで不動産を売却しても良いことはないと言えます。
隠れた瑕疵に該当する?契約不適合の責任を免除する特約との関係
中古物件の売買においては、契約不適合の責任を免除する特約を付けて売買契約を締結するケースが多いのですが、この特約は人の死に関わる事案には適用されません。
隠れた瑕疵とは、買主が普通に瑕疵を探しても発見不可能だった瑕疵のことを意味していますが、売主が故意に事故物件である事実を隠蔽していたとなると、告知義務違反に問われます。
自殺や他殺があった物件であることを失念するとは通常考えられないため、知っていて買主にあえて伝えなかった、つまり告知義務違反であると判断されるのです。
事故物件の売買契約では、契約不適合の責任を免除する特約を付けたとしても告知義務の責任から逃れられるわけではありません。
告知義務違反をしない!事故物件を安心して売却する方法!
心理的瑕疵のある事故物件であっても、買主や仲介する不動産会社には事実を素直に伝えたうえで、次のような対策をしてみることをおすすめします。
見た目・においも残さない!特殊清掃で原状回復
まずは、誰もが気になる室内の状態を何もなかったように元に戻すことが大切で、そのためには専門業者による特殊清掃が最適です。
特殊清掃は通常の室内クリーニングとは違い、除菌・消臭・体液や血液で汚染された物品の処分などを含め、徹底的に清掃をおこないます。
専門業者に依頼する清掃ではありますが、新築の部屋にするわけではなく、清掃の目的は原状回復に留まるので、部屋の状態を元に戻すイメージです。
基本的には、発生した害虫の駆除、消毒・除菌、汚染物の撤去、消臭となりますが、床や壁に体液などが染み込んでしまって汚れが落とせない場合には、一部を解体することもあります。
その場合には、特殊清掃の費用にくわえて部分的なリフォーム費用も発生するため、費用が余分にかかってしまうでしょう。
リフォームでイメージを一新!不安要素を取り除く
通常よりも強力な清掃をおこなう特殊清掃でも汚れが取りきれない場合には、一部もしくは室内全体をリフォームして痕跡を取り除く方法も有効です。
遺体は長く放置されると血液や体液などが流出し、それが床や壁に染み込んでしまうと簡単に取り除けなくなります。
シミが大きい場合やにおいが取れない場合には、その部分を解体してリフォームしたほうが、心理的瑕疵の痕跡を残しません。
ただし、清掃による原状回復よりも時間も費用もかかるため、これから売却しようという物件に対してどこまでお金をかけても良いかを判断する必要があるでしょう。
嫌悪感を金銭的に軽減する!売却価格の値引きを検討
基本の清掃は必ずおこなうべきですが、清掃をおこなっても事故物件は通常の売却価格相場よりも低い価格で売り出すことになります。
買主にとって目には見えないけれど何かあると思わせる心理的瑕疵の影響は大きく、通常の物件と同価格では買い手が見つからない可能性が高いからです。
事故物件の売却では、物件本来の価値から心理的瑕疵の分を差し引いた値引き額を想定し、どこまで下げても良いかを検討しておきましょう。
希望の価格には届かなくても、多少の値引きで精神的な負担を軽減することができるならば、買主にとっても売主にとっても悪くない取引です。
まとめ
売却を急ぐあまり、伝えるべきことを伝えないまま売買契約を結んでしまうと、あとから告知義務違反として買主から訴えられてしまいます。
事故物件だからといって売却ができないわけではなく、告知義務違反にならないよう、買主にしっかり伝えるべきことを伝え、注意すべき点や対策を知ることが重要です。
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