送電線下の不動産売却!売却への影響と事前に確認すべき項目

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア17年

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送電線下の不動産売却!売却への影響と事前に確認すべき項目

売却を予定している不動産の上空に送電線があると、売却できないもしくは、価格を大幅に下げなければならないのではないかと不安ではありませんか?
電気を送り出す電線の種類や仕組み、不動産へ与える影響やどのように評価されるのかなどを知れば、売却への道が見えてきます。

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不動産売却に影響する?送電線の種類と仕組みを解説

不動産売却に影響する?送電線の種類と仕組みを解説

送電線が土地の上空を通過していると、その構造から威圧感や災害時に危険なのではないかと危機感を抱かせやすいことから、不動産売却に影響すると聞くでしょう。
しかし、電気を送る仕組みと送電線の種類を正しく知れば、思い違いをしている部分があることに気が付きます。

家庭に送電される仕組みと街中の電圧は?

日本中の電気は各地にある水力・火力・原子力発電所によって、数千から2万ボルトもの電気が作り出されています。
発電所から送り出されたばかりの電気は、27万〜50万ボルトという超高電圧ですが、これは長距離を送電する際のロスを少なくし、効率よく電気を届けるための電圧です。
この超高電圧は各地にある超高圧変電所を介して15万ボルトに変換し、さらに1次変電所で6万6,000ボルトまで下げられます。
この段階の電圧は家庭で使うことができないほどの高電圧ですが、大規模な工場や鉄道会社などが利用しています。
配電変電所でさらに6,600ボルトに変換され、ようやく街中でよく見かける電柱にある柱上変圧器で100または200ボルトに変換されて各家庭へと電気が届けられる仕組みです。
どこを見ても高電圧に見えますが、電気設備に関する技術基準を定める省令によると、低圧・高圧・特別高圧の3つの種類に分けられています。
低圧は直流で750ボルト以下・交流で600ボルト以下、高圧は直流で750〜7,000ボルト以下・交流で600〜7,000ボルト以下、特別高圧は直流・交流ともに7,000ボルト以上です。

電柱?鉄塔?見た目でわかる架空送電設備の構造と種類

送電に詳しい方でなければ、山間を走る鉄塔には高圧電線があり、街中にあるコンクリート製の電柱は低圧のように見えますが、実は違います。
架空送電設備とは鉄塔や電柱のように電気を送る設備のことで、送る電気の電圧が高いほど、建物や木から距離を取らなければなりません。
わかりやすく鉄塔で解説すると、鉄塔の上には避雷針の役割をする架空地線があり、送電線は電気を通さない素材で作られた「がいし」と呼ばれる部分によって吊り下げられています。
電圧が大きいほど、がいしの数も比例して増えるため、高圧かどうかは鉄塔や電柱のがいしから見分けることが可能です。
高圧な電気を送る設備であるため、自然と鉄塔が高圧だと思い込んでしまいますが、実際には木製やコンクリート製、鉄塔よりも細い鉄柱製などもあります。

送電線の有無が不動産売却に与える3つの影響

送電線の有無が不動産売却に与える3つの影響

決して送電線があることで、その下の不動産が売却できないというわけではありませんが、不動産売却に関しては通常にはない制限や影響を受ける可能性があります。

建築制限で思ったように家が建てられない?

送電の仕組みにあったように、高圧電線が走っている場合、建物や木などから距離を取る必要があるため、送電線の下の土地には建築制限が設けられています。
もっとも下の電線から水平距離で3m、電線がもっとも下がった位置から電圧ごとに定めた離隔距離を保たなければなりません。
省令によって定められた離隔距離は、送電線の電圧が6.6万ボルトでは3.6m、15.4万ボルトでは4.8m、27.5万ボルトで6.6m、50万ボルトで10.05mとなっています。
ただし、この離隔距離は基準であり、電力会社によっては安全を考慮してより厳しい基準を定めているケースもあるので、確認が必要です。
安全のためとはいえ、建物を建てるのにスペースを自由に使えないことから、不動産売却に大きな影響を与えると考えられています。

騒音問題や嫌悪感も不動産売却に影響を与える

心理的な影響でいえば、鉄塔や高圧電線が家のすぐ近くにある嫌悪感や圧迫感によって、強引な値下げ交渉などの可能性はあるでしょう。
また、電線に強い風が当たった際に生じる風切り音や、雨によって絶縁体であるがいしから小さな放電やジージーという音が生じることもあります。
これらの問題は、1つ1つは大きな問題ではありませんが、良い不動産を見つけたいからこそ、物件の条件にはシビアになってしまう買い手の心理が現れています。

土地の所有者と電力会社との間で結ばれている契約内容

所有する土地や建物の上空を送電線が通過するため、場合によっては電力会社と土地所有者との間で地役権の設定や契約を結んでいるでしょう。
地役権は登記簿謄本で確認できるもので、電力会社との間で建築制限に関する取り決めを明記し、制限を受ける代わりに所有者に補償金が支払われます。
地役権の設定がなくても、電力会社との間で送電線に関する契約を結んでいる場合には、補償金が毎年支払われるケースがほとんどです。
補償金が出ているので一見するとメリットがあるように見えますが、送電線が土地の上空にあることで不動産の評価額そのものに影響を与えてしまうことは避けられません。

不動産売却する前に不動産の評価を調べておこう

不動産売却する前に不動産の評価を調べておこう

不動産売却では、評価額はあくまでも価格の参考にする1つの基準ですので、どのような減額評価を受けることになるのか、下調べをしておくと良いでしょう。

不動産の評価基準を調べる際の高圧線下の減価方法

送電線や高圧電線の下にある土地では、通常の方法で評価された金額よりも減価されることがほとんどです。
国有地の場合、財務省の定めにより建物が何もない状態の更地価格の30%を評価額とするとされています。
更地価格は、国税庁が毎年公開する評価額である路線価に、土地の面積をかけることで算出される価格です。
相続税を算出する場合では、建築制限を受ける場合には30%、家屋などの建築が不可能な場合には50%の減価率が適用されます。

登記簿謄本で地役権設定登記の内容を確認する

不動産売却前には、売却に影響を与える契約が交わされていないかを確認することも重要で、地役権は建物の建築に関わります。
法務局で閲覧できる登記簿謄本には、土地や建物所有者名やいつ取得したかなど、その不動産に関する内容が細かく記載されています。
そこには地役権と呼ぶ、土地の上空を送電線が通過することを許可する権利が設定されているかどうかがポイントです。
電力会社は安全のためにも、省令で定められた距離以内に建物が建築されては困るので、地役権を設定して、その土地の建築に制限を設けます。
ただし、山間部に土地がある場合や何十年も前に送電線が建設された場合には、地役権設定登記がされないままのケースもあるため、電力会社に確認してみると良いでしょう。

電力会社との間で締結した送電線に関する契約を確認する

地役権を設定しなくても、電力会社と土地の所有者との間で別途契約を交わすことで、同じような効力を持たせることができます。
それは、送電線架設保持に関する契約と呼ばれるもので、電力会社と土地の所有者との間で取り決めた内容で契約を結ぶため、第三者が取得しにくい情報です。
登記簿謄本で地役権が設定されていない場合でも、当時の土地の所有者が個人的に電力会社と送電線に関する契約を結んでいれば、地役権があると同様に評価額は減価されます。

まとめ

送電線が家の上を通過することで、通常の不動産売却よりも影響を受けてしまいますが、決して売却が不可能というわけではありません。
どのような方法であれば適切に売却できるか、売却に関する不安や疑問があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

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