所有者が行方不明でも不動産売却できる?失踪宣告や売却方法について解説

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア17年

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所有者が行方不明でも不動産売却できる?失踪宣告や売却方法について解説

家や土地など不動産の所有者が行方不明である場合、その不動産の扱いはどうなるのでしょう。
配偶者や相続人としては手を出そうにも出せない状況であるため、なんらかの解決策を見出したいところです。
では所有者の行方がわからなくなっている場合の不動産売却の方法などについて、くわしく解説していきます。

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所有者が行方不明である不動産売却においての失踪宣告とは

所有者が行方不明である不動産売却においての失踪宣告とは

所有者がなんらかの事情により行方不明となっている場合、通常であればその方が所有する不動産を勝手に売却することはできません。
ただ所有者のいない不動産をいつまでも持っていると、それだけでも税金などの維持費がかかってしまい、残された家族にとっては大きな負担となります。
そこで所有者が行方不明であっても、所定の手続きをおこなえば不動産売却ができるようになる方法が設けられており、そのひとつが失踪宣告です。
この失踪宣告とは、生死が不明の行方不明者を法律上死亡しているとみなす制度のことで、これにより所有者不在のケースでもその不動産売却が可能となるのです。
失踪宣告を受けるにはその失踪状況を明確にする必要があり、ひとつめが普通失踪、そしてふたつめが特別失踪となりそのどちらに該当するのかをまず調べてください。
普通失踪とは失踪後、7年以上もの間その方の生死が不明である場合に受けられるもので、7年を経過したその日に失踪者は死亡扱いとなるわけです。
特別失踪については、たとえば戦争や船舶の沈没、土砂崩れや津波などの自然災害により行方不明となっている場合、その災難が去った1年後に失踪宣告が受けられます。
この失踪宣告の申し立て方法についてですが、まず行方不明者の本籍地または居住地を管轄している家庭裁判所が申し立て先となります。
その申し立てができるのは失踪者と利害関係にある人で、たとえば財産の相続に関わってくる配偶者やその他の相続人、財産管理人などがそれに当たります。
ただその行方不明者と利害関係があることを証明できない場合、いくら親戚であっても申立人としては認められませんのでその点はしっかりと抑えておきましょう。
申し立てで必要となる書類は、申立書や失踪者の戸籍謄本と戸籍附票、失踪者が行方不明でありそのうえ申立人と利害関係があることを証明する資料です。
この申し立て後に家庭裁判所は書類や資料の確認、聞き取りなどの調査を始めますが、失踪宣告がなされるまでは早くても半年ほどの期間を要することになります。
失踪宣告を受けることで、婚姻関係の解消や死亡保険金の請求、また相続人から外すこともでき、不動産売却に向けて動けるようになるわけです。

所有者が行方不明であるときの不動産売却の方法はどうなるのか

所有者が行方不明であるときの不動産売却の方法はどうなるのか

失踪宣告を受け、失踪の届け出を済ませることで不動産売却へ向けて大きく舵を切ることになりますが、実はこの段階ではまだ売却はできません。
その理由として、売りたい不動産の所有者がまだその行方不明者のままであり、その名義変更をおこなわなければいけないためです。
所有者の相続登記、つまり名義変更は法務局にて受け付けてくれ、方法としては必要書類を提出し、その後登記完了書や登記識別通知書が手元に届くことですべての手続きが終わります。
その相続登記でまず必要なのが登記申請書で、ここには登記の目的や原因、相続人の住所・氏名、不動産のある住所などを記します。
このとき死亡とみなされた人の死亡までの戸籍謄本や除籍謄本、そして相続人全員の戸籍謄本と住民票の写しが必要となるため、あらかじめ用意しておきましょう。
もし代理人による申請をおこなうのであれば委任状が別に必要となり、また共同相続人がいるケースでは遺産分割協議書や相続人全員の印鑑証明書も別途必要です。
ただまれにですが行方不明から数年経過し、失踪宣告を申し立てた後、その行方不明者が発見されることがあり、こういったケースでは失踪宣告の取り消しを申し立てることができます。
失踪宣告の取り消しがおこなわれることで、売却予定の不動産はその方の名義に戻りますが、売却したものに関しては返還されません。
また行方不明者と名義を共有している方がいる場合ですが、その共有持分を持ち続けることで将来的にリスクが大きくなっていく恐れがあります。
そのリスクとして考えられるものは、維持費や管理の負担が続くという点、特別空家に指定されることで固定資産税の軽減措置がなくなるといった点などです。
この場合、自分が持つ共有持分のみを売却することで共有名義の解消ができますが、ただ共有持分のみの購入希望者は現れにくいのが現状と言えます。
つまり現実的に共有名義を解消するには、先述したような失踪宣告の申し立てをおこなうか、後述する不在者財産管理人をたてるか、この2つの方法となるでしょう。
ただ2023年4月1日からは、裁判所に請求することで共有者の共有持分を買い取る、または共有不動産全体を売却できるという2つの制度が利用できるようになります。

所有者が行方不明の不動産売却における不在者財産管理人とは

所有者が行方不明の不動産売却における不在者財産管理人とは

所有者の行方が知れず、不動産の売却ができないといった場合、失踪宣告を受けるといった方法以外にも不在者財産管理人の選任をすることで売却が可能になります。
不在者財産管理人とは行方が分からず連絡が取れない人の代わりに、その人の所有する家や土地などの財産の管理ができる人のことです。
不在者財産管理人を選任することで、失踪宣告の場合の7年以上といった期間の制約もなくなり、また行方不明者の生死に関してもそれを問われることはありません。
不在者財産管理人の選定の流れとしてまずは、候補者選びから始めますが、その資格要件はとくに定められていないため、基本的には利害関係がない第三者をたてます。
ここで言う利害関係がない第三者とは、配偶者や相続人、債務者などの利害関係人以外の人のことで、なるべく法律の専門家である弁護士や司法書士に依頼するほうが良いでしょう。
弁護士や司法書士に依頼することで手続きやその後の不動産の処理が円滑になりますが、報酬が発生するため、その費用について利害関係者で話を付けておく必要があります。
そしてこのとき、財産の価値よりも不在者財産管理人の弁護士や司法書士に支払う報酬や管理費用のほうが高額であれば、申立人がその不足分を支払います。
候補者が決まればそれを家庭裁判所で認定してもらう必要があり、このとき提出する書類は申立書や不在者の戸籍謄本、不在者財産管理人候補者の戸籍附票などです。
その後不在者財産管理人が決定すれば、次に権限外行為の許可を家庭裁判所に申請し、その許可がおりることで、不動産売却をおこなえるようになるわけです。
なお申請に際して、それを承認する事情確認が必要なこともあり、その場合申立人や不在者財産管理人が呼び出されることになるため、それには速やかに対応してください。

まとめ

行方不明者がいること自体は残された家族にとっては、悲しいことではあります。
ただ所有者が不明となっている状態でその不動産を持ち続けることは、税金などの費用や管理の面で問題が生じやすい状態と言えるのです。
そしてもし売却を検討しているのであれば、その際はこちらに記したような方法をおすすめします。

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