相続の現物分割とは?メリット・デメリットと現物分割しやすいケースも解説

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア17年

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相続の現物分割とは?メリット・デメリットと現物分割しやすいケースも解説

 

親から不動産を引き継いだ場合、それを相続人全員でどう分けていくのかが大きな問題となります。
どんな方法であれ、多少の不満や不公平感はあるのは仕方がないにせよ、なるべくトラブルは避けたいものです。
今回は、遺産相続の分割方法の1つである現物分割とはなにか、またメリット・デメリットや分割しやすいケースも解説します。

遺産相続での現物分割とは

遺産相続での現物分割とは

現物分割とは遺産の形や性質を変えず、そのまま分割するといったもので、ほとんどのケースではこの方法によって遺産の分割がおこなわれます。
具体的な例として、まずAとBの2人が相続人で、遺産が現金1,000万円と資産価値1,000万円の土地、そして資産価値100万円の自家用車であるとします。
これを現物分割するとAが現金50万円と土地とで1,050万円、そしてBが現金950万円と自家用車で1,050万円といった分け方になるわけです。
土地を分筆した場合は、Aが現金450万円と分筆した後の土地500万円分、そして自家用車の合計1,050万円、Bが現金550万円と分筆後の土地500万円分の合計1,050万円となります。
この分筆とは1つの土地を複数に分けて登記し直すその手続きを言いますが、これをおこなうと土地自体の価値が下がるケースがあります。
そういったケースでは現物分割以外の分割方法である、代償分割や換価分割も選択肢に入れ、慎重に考えたうえでどれにするか判断しなければいけません。
では、現物分割ではない分割方法としてまずは代償分割をみていきましょう。
代償分割の場合、相続人の1人が遺産を引き継ぎ、ほかの相続人に対しては代償金を支払うといった方法です。
各相続人は法定相続分の割合を元に遺産が分割されるわけですが、土地などうまく分けられないものがあれば、その差額分を代償金として埋め合わせするこの方法が取られます。
こちらも例を挙げると1,000万円の土地と100万円の自家用車をAが、現金1,000万円をBが引き継いだ場合、Aが1,100万円でBは1,000万円となります。
この状態であれば、法律上では同等の割合となっているにも関わらずAのほうが50万円分多く遺産を取得でき、Bとしては不公平感を抱くわけです。
このとき代償分割を利用すると、AがBに対して代償金として50万円を支払うことで、AもBも同じ1,050万円を引き継がれるわけです。
現物分割でない分割方法として次は、換価分割があり、これは遺産をまず売却し、その売却代金を分配するといったものとなります。
代償分割と同じく例を挙げると、まず土地と車を1,100万円で売り、そこにもともとある現金1,000万円を加えると、遺産が合計で2,100万円の現金となるわけです。
これをA、Bそれぞれが現金1,050万円ずつで分配といった方法になり、土地などの不動産を引き継ぎたくない方がいる場合などに利用されます。

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現物分割で相続をおこなうときのメリット・デメリット

現物分割で相続をおこなうときのメリット・デメリット

現物分割を利用するメリットとして、まずは手続きが簡単であるいった点があり、これは1人が1つの不動産をそのまま引き継ぐといったシンプルな方法であるためです。
不動産を売却する手間もなく、土地であれば所有権移転の登記、自家用車であれば名義を変更するだけで済み、清算金の支払いもなくいたって分かりやすく単純です。
次はとくに不動産に関してですが、遺産をそのままの状態として残せるといったメリットがあり、これにより自分よりも後の世代にも引き継げるようになります。
また土地がそのままの状態で残っていけば、たとえばアパートを建てるなど資産運用として活かしたり、自分の家を建てたりと幅広い活用方法が見込まれるのです。
また資産の評価の面でも、代償分割のときのような代償金の支払いのための評価が不要で、その査定依頼に対しての費用や手間がかからないといったメリットがあります。
これが代償分割となると、引き継いだ不動産の評価方法や査定額についての揉め事が起きやすく、兄弟など親族の間であっても大きなトラブルに発展するのも珍しくないのです。
次に現物分割するデメリットは、不公平になりやすいといったもので、なかでも遺産が不動産のみの場合はそれが顕著です。
現物分割は基本的に土地などの不動産であれば、それを1人が引き継ぐものであるため、ほかの相続人としては、不公平感を抱いてしまいます。
もちろん土地を分筆して複数人で遺産分割するといった方法もありますが、どの土地でもそれが適用できるわけでなく、なかには分筆を禁止している地域もあるのです。
仮に分筆できる土地であっても、それが狭小地で分割により評価額が下がってしまうケースもあり、土地の形状によっては接道義務などを果たせない土地ができてしまいます。
同じ不動産であっても家屋の場合は分筆ができず、ほかにも骨董品や芸術品といった資産価値が認められるものも、そのもの自体での部分的な分割はできません。

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相続で現物分割がしやすいケース

相続で現物分割がしやすいケース

相続するときに現物分割がしやすいケースは、まずは特定の相続人に遺産を集中して相続させたいときに、この方法が適しています。
たとえば実家を長男に引き継がせたいときなどがこのケースに当たり、手続きも簡単ですが、ほかの相続人の同意を得なければいけません。
逆に不動産だけでなく、株式やゴルフ会員権、骨董品や車など多様な遺産がある場合も、この現物分割がしやすいケースとなります。
その理由としては、相続人としては自分の希望のものが引き継がれるといったものがあり、また土地だけの場合と違い、なんらかのものを取得できるため不満がでにくいのです。
また遺産が預貯金中心の場合もこの分割方法が利用しやすく、現金は調整が効き相続人全員に公平に分割できるため、不公平感を抱かれにくいケースです。
一方、現物分割が適していないケースは、大きく2つに分けられます。
1つめが物理的に分けられないもの、2つめは価値が減少するものです。
この2つに当てはまる代表的なのが土地で、これは性格上分割できないものであり、仮に共有している土地であってもそこが狭ければ分割により、さらに狭い土地になります。
利用価値も活用方法も限られてくるため、2つめのケースとして挙げたように資産的な評価も著しく減少し、また最低敷地面積などの規制にかかる恐れもあるわけです。
このようにこの分割方法に適していない遺産があるケースにおいては、遺産分割協議書を作成するのが一般的であるため、相続人全員でまずは話し合いの場を設けてください。
遺産はとりあえず相続人全員の共有状態となるため、その分け方について話し合うわけですが、納税の申告が10か月以内と短く、スムーズな話し合いが求められます。
もしすぐに遺産の分割ができない状況であれば、当面その遺産の分割ができないように、家庭裁判所に遺産分割禁止の調停の申し立てがおこなえます。
これは相続人の間で揉め事が起こりそうなとき、あるいはすでに起こったときなど、特別な事由があると家庭裁判所が判断したときに認められるものです。
その禁止期間は5年以内とされ、もしその間に特別な事由が解消されなければ、再び5年以内の分割禁止の申し立てをおこなうケースもあります。

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まとめ

親からの遺産を複数人で引き継ぐとき、ほとんどの場合、なんらかの不満が出てきます。
そしてそれを最小限に抑えるために、誰もが納得する方法を取る必要があるわけです。
現物分割は分かりやすい分割方法ではありますが、不公平の出やすいものでもあるため、分割方法については相続人の間でしっかりと話し合ってください。

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