空き家火災が起きる原因とは?起きたときの責任や対策方法を解説

不動産のこと

福田 善行

筆者 福田 善行

不動産キャリア17年

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空き家火災が起きる原因とは?起きたときの責任や対策方法を解説

人が住んでいない空き家は、火災のリスクが高いのを知っていますか。
管理を怠ると火災が起きて周辺の住民に被害を与えるだけでなく、損害賠償責任を負う可能性があります。
この記事では空き家火災の原因や起きたときの所有者の責任、起こさないための対策について解説しているので、空き家を所有している方は参考にしてください。

空き家火災の原因と起きやすい建物の特徴

空き家火災の原因と起きやすい建物の特徴

人が住んでいない空き家では、何が原因となって火災が起こるのでしょうか。
ここでは多く見られる出火原因や、火災が起きやすい空き家の特徴を解説しています。
まずは原因や特徴をしっかりと理解し、対策を考えましょう。

出火原因

出火原因で多いのは放火、タバコのポイ捨て、ガス漏れ・漏電です。
人が住んでいない空き家は放火の標的になりやすく、令和2年の住宅火災のうち、出火原因が放火もしくは放火の疑いがあるものは全体の約9.3%を占めています。
消防庁の統計によると、放火は夕方から夜にかけて起こる率が高く、出火場所は建物の外ではなく室内であるケースが多いとされています。
また、原因は放火のような故意によるものだけではなく、タバコのポイ捨てなどの不注意やガス漏れ・漏電などの管理不足によるものも多いです。
タバコのポイ捨ては危険とされているものの、火の付いた状態で気付かずポイ捨てしてしまう場合もあるでしょう。
タバコの火は小さく見えますが、雑草やゴミなど燃えやすいものへ燃え移ると大きな火災に発展します。
ガス漏れは配線トラブルによる火花と組み合わさると大きな爆発になりかねません。
人が住んでいればガス漏れや漏電も気付ける可能性がありますが、空き家では気付かないうちにトラブルが起きている場合があります。

起きやすい建物の特徴

放火されやすい空き家の特徴には人の気配がない、燃えやすいものが近くにある、ドアや窓の施錠がされていないなどがあります。
なかでも周辺に人が住んでいる家が少なく、外から人が住んでいないなど建物内の様子がわかりやすい空き家は狙われやすいでしょう。
雑草が多く茂っていたり、夜に明かりが付いていなかったりすると、人が住んでいないと判断される可能性があります。
また雑草が生い茂り、不法投棄されているなど管理されていない空き家は、放火を含むさまざまな火災が起こる確率が高いです。
きれいに清掃され、雑草も除去されている場合とくらべ、雑草やゴミがあると火が広がりやすく放火犯にも狙われやすいでしょう。
管理されていないとネズミや害虫が発生しやすく、老朽化だけではなくネズミなどにかじられガス漏れや漏電が起きる可能性があります。

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空き家の管理方法と火災防止対策

空き家の管理方法と火災防止対策

空き家は火災リスクがあると知っていても、対策方法がわからない方も多いのではないでしょうか。
ここでは空き家の管理方法や火災防止対策を解説しています。
空き家を所有している方、これから所有する予定がある方はぜひ参考にしてください。

管理方法

空き家で火災を起こさないためには、普段からの管理が重要です。
雑草が多く茂れば火元になりやすいほか、ネズミが発生したり、不法投棄されたりする可能性があります。
定期的に雑草を除去すれば、火元を作らないだけでなく見た目もきれいに保て、近隣住民とのトラブルを防げるでしょう。
また、ガスや電気、配線は定期的な点検が必要です。
ガス漏れや漏電、配線トラブルが起きないよう、劣化が進んでいる場合は修理や取り換えをおこないましょう。
長期間使用しない場合は、止めておくのも1つの方法です。
普段から管理に訪れ、管理人の存在を示せば、それだけで放火防止対策になります。
離れた場所に住んでいてなかなか訪れられない場合は、管理業者の連絡先をわかりやすく示して置くのもおすすめです。
また、近所に住む方と良い関係を築き、何かあったときは連絡をもらえるようにしておきましょう。

火災防止対策

重要なのは、燃えやすいものを置かない点です。
放火やタバコのポイ捨て、ガス漏れ・漏電など、すべて共通して燃えやすいものがあって火災が起きています。
空き家の燃えやすいものとして代表的なのが雑草です。
雑草は放置してしまうとすぐに成長するほか、不法投棄されやすくなります。
定期的な雑草除去は雑草自体を取り除けるだけでなく、火元になりやすい不法投棄を防げるでしょう。
ほかに燃えやすいものとしては、出しっぱなしのゴミ、置きっぱなしの新聞や灯油などがあります。
できるだけ使わないものは放置せず、片付けましょう。
また、放火対策としては、自動点灯する照明の設置がおすすめです。
夕方から早朝にかけて暗くなる時間は不審者が侵入しやすく、放火が起きる確率が高いとされています。
人を感知するセンサー付きの照明を付ければ、防犯意識の高い家と認識され、不審者が侵入しにくくなるでしょう。
また、不審者の侵入を防ぐには、戸締りも重要です。
玄関の扉や各部屋の窓、さらに門がある場合は門もしっかりと戸締りしましょう。

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空き家火災に対する所有者の責任

空き家火災に対する所有者の責任

第三者に放火されて起きた火災についても、空き家の所有者が損害賠償責任を負う場合があります。
ここでは所有者の責任について、失火責任法や放火、ガス漏れ・漏電の場合について解説しています。
多額な損害賠償責任を負わないよう、責任の所在について知り、管理の必要性を考えましょう。

失火責任法

民法第709条では、故意もしくは過失によって他人の権利もしくは利益を侵害した者は、損害賠償責任を負うと定められています。
故意もしくは過失による火災で他人に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負う必要があります。
ただし、所有者に重大な過失がない失火の場合は、民法第709条が適用されません。
明治32年に定められた失火責任法は、日本では木造建築が多くて火が広がりやすく、失火者が過大な責任を負いかねない点が問題視されてできたとされています。
失火責任法では、失火者に重大な過失がある場合を除き、失火の場合は民法第709条を適用しないと定めています。
これにより、所有者に重大な過失がない場合、所有者は損害賠償責任を負いません。

放火の場合

放火のような第三者が故意に火をつけて火災を起こすケースについて、所有者は損害賠償責任を負いません。
ただし、管理状況や対応によっては、重大な過失があるとみなされる場合があります。
たとえば施錠を怠るなど侵入者が自由に入れる状態を作った場合や、侵入者を認識し放火を予見できたにも関わらず対応しなかった場合などがこれに該当します。
これらの場合は管理不足、対応不足などで、重大な過失と判断される可能性が高いです。
重大な過失と判断された場合は第三者による放火であっても、所有者が損害賠償責任を負う必要があります。

ガス漏れ・漏電の場合

ガス漏れや漏電によるケースは過失による火災に当たり、損害賠償責任を負うかどうかは、重大な過失があるかないかで判断されます。
一般的にガス漏れや漏電は管理不足による所有者の重大な過失と見なされるケースが多いです。
建物のガスや電気、その配線は所有者に管理責任があります。
ガスや電気、その配線は長期間管理されていないと気付かないうちに劣化して破損する危険性があり、これらが原因の場合は所有者の管理不足と言えるでしょう。

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まとめ

空き家火災は、多くの場合放火やタバコのポイ捨て、ガス漏れ・漏電が原因です。
失火の場合、所有者は損害賠償責任を負いませんが、所有者に重大な過失がある場合は放火であっても責任を負う必要があります。
定期的な管理はもちろん、燃えやすいものを置かないなど対策もしっかりとおこないましょう。

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